2025年に買ってよかったもの

この記事2025年に買ってよかったもの Advent Calendar 2025 – Adventarの25日目の記事です。昨日はmanualogさんの2025年買ってよかったものでした。

僕はものつくりの仕事をしています。名刺にはデザイナーと書いていますが、プロダクト・ブランド・IPに応じて割と幅広く制作しています。趣味でも仕事でも、おもしろそうな機材を見つけたらポチッちゃうから、バベルの塔よろしく積み重なる段ボールに家族から叱られる今日この頃です。

そんな僕が2025年に購入して印象に残ってるもの・良かったものを記します。

YOIbuy PRO ジョイントカッター YJC-01

1月3日に購入したジョイントカッター、9999円で購入。これは木工造作において複数の木材を接合するときの工具です。

この製品の登場は衝撃的でした。いままで日本の充電式ジョイントカッターといえば Makita PJ180DZ しか存在せず、他に選択肢がありませんでした。よくある中華互換品すらなかったのです。Makita社製品はスタンダードであり品質も良いのですが、価格約26000円。対してYOIbuyが投入したのは12000円。半額以下です。ちょっとボタン類が固いと思う部分があるも、工作精度は申し分なし。全国のDIYerが飛びついたのか、僕が購入した直後からしばらくAmazonで注文不可能でした。(2025年12月現在は普通に購入できます)。

とはいえ、すぐにジョイントカッターが出番となる作品はなかったので、とりあえず自分用に電動昇降デスク用の天板を作りました。

カフェ板を4枚継ぎ合わせて 2000×800×30 の巨大天板を作成。いやまぁ、普通に考えてカフェ板つなぎ合わるのって、さねが邪魔ですし、歪むし、プレーナーも持ってないので平面精度はガッタガタなんですけどね。でもジョイントカッターの実力を十二分に感じられる楽しい工作でした。

KTC M27P6

これも発売当日に飛びつきました、2月22日。購入金額は70982円でした。HDR1400対応 MiniLED 4K FastIPS の27インチディスプレイ。今までの同等機種が15万円以上したのに、7万円程度で販売開始。とんでもない価格破壊でした。KTCは2025年初頭は無名ブランドでしたが、2025年末現在はAmazonのランキングでも有名になりましたね。M27P6はKTCの出世作と言えるでしょう。

今日までに友人、所属企業ふくめて M27P6 を計6枚、また別機種の KTC H27P27 も購入し、それぞれキャリブレーションやメンテナンスを行いました。総括してKTCがコストパフォーマンスに優れた製品なのは間違いはありません。でも表記スペックか製品性能、ちょっと無理してるんじゃないかな……って印象を持っています。3年保証などありますから一定程度の安心はあります。でも経年劣化や故障には留意して使うほうが良いかも。というのが、2025年12月現在の僕の私見です。ちもろぐさんのように数値測定結果を出せる訳ではないので、あくまでも複数のKTC製品を触ってみた僕個人の雑感としておきます。

Ulanzi TH04 カメラアームスタンド

Ulanzi社の製品は今年もたくさんお世話になりましたが、特にこのカメラアームスタンドTH04の品質は素晴らしかったです。購入金額は12799円。

カメラのような重量が数kg~数十kgあるパーツを支えるとき、9.SOLUTIONSのセイバークランプをよく使っていましたが、2024年夏頃から値上がりしてしまいました。Ulanzi TH04 はセイバークランプの完全互換ではありませんが、重量への耐性、取り回し、製品品質の全てがバランス良く、今までになかったポジションにいます。機材が3kg以下の定点撮影ならTH04はかなり使えます(メーカー推奨耐荷重は2kgまで)。
ちなみにこの手のアーム式多関節クランプは、ねじで締めて固定するタイプが多いです。ネジを締め込むと削れた粉が少量でるものです。しかしTH04は他社製品に比べて摩擦による削れが少なく、粉がでにくいと思います。アームを動かして現場が汚れると手間なので、清掃面でもGOODです。

TH04はカメラを乗せるだけに使うのは、ちょっともったいないと思わされる不思議な機材です。アイデア次第では様々なシーンで活躍するポテンシャルがあります。僕は自宅でもTH04をマイクアームとして使用しています。接続部分は5/8<->3/8ネジ変換を使ってクイックマウントに接続しています。

HiKOKI コードレスハンマードリル DH36DMA

コンクリートを斫るときに使うハンマードリルです。4月頃に最安値である75200円の値を付けたので、思わず買ってしまいました。
ハンマードリルはここ数年ほしいと思いずっと価格チェックしていました。2024年下半期でMakitaもHiKOKIもそれなりに新商品ラインナップが出そろいました。でも性能に対して値上がりが激しいなぁと思ってたので、あえて旧世代のDH36DMAを選択しました。

マジで地面掘るのがラクになりました。もっと早くに買えば良かった!モルタルがビスケットみたいに割れる!これで巨大な工作物の破壊が一瞬です。レッツ、デストロイ!
とはいえ仕事での出番はなく(当然か)、敷地に転がってた明治時代製造の石風呂を粉々に砕いたり、友達の家に持ってって庭木の抜根して遊びました。自宅の庭を整地して水平とれたのも楽しかったです。
個人でこのクラスのハンマードリルを持ってるひとって少ないから、謎の優越感も得られます。ムカつくやつと話しても「でも僕、ハンマードリル持ってるもんね」って精神的勝利できます。

なお、SDS MAXシャンクか六角軸シャンクかは、最後まで迷いました。結局、SDS MAXにしたものの、良いかどうかはいまいち実感できていません。ここらへんの情報はAIに尋ねてもまともな回答が返ってこないし、現場にいる土木のプロ達に聞いても言語化されてない情報が多いなぁと感じます。ITや文書化が届いてない世界ってまだまだあるし、暗黙知に触れた買い物体験でもありました。

SwitchBot スマートロック Ultra

SwitchBot スマートロック Ultra 顔認証パッドとスマートキーセットは予約購入で29733円でした。やたら予約期間が長くて、いつ届くんだとやきもきした覚えがあります。

SwitchBotのスマートロックは、初代から全製品を使ってます。普通に現代的なドアに取り付けもするし、古民家の引き戸を造作・改造してスマートロック化とかして遊んだりしてました。(下記画像の古木戸に取り付けたのは1世代前のスマートロックPro)

このスマートロックUltraで、ついにSwitchBotのスマーロックは完成したなぁ。という印象です。いままでのスマートロックは、電池性能が弱かったり、衝撃が加わった後の挙動があやしかったり、そもそもモーターのパワーが不足していたり。何かとトラブルを抱えた製品でした。またSwitchBot製品にありがちなのが通信安定性の悪さ。スマートロックにおいてこのようなトラブルは即「家に入れない」という重大事案につながります。今回のスマートロックUltraでは、バッテリー、モーターパワー、応答性、ネットワーク接続性すべてが改善され、やっとあるべき姿になったと感じました。これ以上の進化はあんまり考えられない段階にきたと思います。

もっとより安定性を求めてモダンさも考慮するなら、Ubiquiti社のネットワークルーター + スマートロックシステムは注目しています。何度か購入を検討しましたが、当然ように10万円超えるし、導入するために改造できる物件がないので触れていません……。いつかは試してみたいですね。

Apple Magic Trackpad 2 (2015)

2024年に後継機種のMagic Trackpad USB Type C が登場して久しいです。そろそろディスコンの気配がしたので、Apple Magic Trackpad 2 (2015年版) を1台確保するかと思って買いました。今、左手用デバイスとして重宝しています。ヤマダウェブコムで購入し、価格は9680円でした。

Apple Magic Trackpad 2 をWindows環境で使うにはサードパーティ製ドライバが必要でして、これが最新世代である Apple Magic Trackpad 3 では対応していません。そのために第2世代が必要なのです。
主に右手でペンや別PC操作しながら、左手のトラックパッドでメインPCを操作するなどで活躍しています。スクロールがスムーズなのも素晴らしく、 macOS から Windows に乗り換えた時の不便さが一つ和らいで嬉しいです。

Display Fusion

ブラックフライデーで購入したソフトウェアで、3576円で購入。マルチモニター制御ソフトウェアです。

僕の環境は現在メインPCはモニター6枚環境で、サブPC2台もあって合計10枚を常に操作しています。ディスプレイレイアウトはかなり複雑です。

ちなみに操作デバイスはしょっちゅう組み替えていますが、現在のところこんな感じで使っています。動画編集を行うときは、Blackmagic Design DaVinci Resolve Speed Editor が加わります。

それぞれのディスプレイのDPIが違うため、ウィンドウ移動時のラグが問題でした。ウィンドウが画面をまたぐタイミングで描画更新が入り、操作が一瞬止まってしまうのです。これまで PowerToy の機能やカスタマイズでなんとかしていましたが、専用のソフトウェアで一括管理したいと思っていた頃合いで入手したのが、Display Fusionです。

Display Fusion ではマルチモニターに関わる様々な設定が行えるソフトウェアです。

  • マルチモニター環境に適したタスクバーのカスタマイズ
  • ディスプレイの壁紙やスクリーンセーバーをそれぞれ変更
  • モニターの解像度・リフレッシュレート・回転などを一括設定
  • 多機能なウィンドウ分割設定
  • ウィンドウのスナップ設定
  • カスタムアクションやショートカットによるウィンドウ操作
  • Windows のロック画面のカスタマイズ

などなど出来る事が山のようにあります。
僕は前述のようにウィンドウ操作に困っていました。そのため Display Fusion でウィンドウのディスプレイワープコマンドを設定しています。Ctrl+Shift+Insert~PageDown の6キーに各ディスプレイを割り当てて、右手のショートカット一発でウィンドウをワープさせています。

マルチモニタ環境のウィンドウ操作には、様々な解があります。AHKなどのソフトウェアによるグローバルホットキー付与、マウスやトラックパッド純正ソフトウェアのマクロ・ショートカット割り当て、Elgato Stream Deck などの左手デバイスによる操作……etc。どれも一長一短があるので、これが正しいという訳ではありませんが。僕にとっては Display Fusion が今のところ最適解となっています。

Proton Unlimited と SimpleLogin

これもブラックフライデーでライセンスを購入しました。14300円で1年契約サブスクリプションでした。

Proton Unlimited とはセキュリティ系サービスを展開するProton社のソフトウェアです。
元々 Proton はVPNサービスとして有名でしたが、2016年にリリースしたセキュリティ重視のメールサービス Proton Mail、パスワードマネージャーの ProtonPass、ネットワークストレージの ProtonDrive など、セキュアなツールを拡大していました。

特に僕が注目しているのは、2022年にProton社が買収した SimpleLogin。そして2025年にリリースした Proton Authenticator の2つです。
SimpleLogin とは受信用メールアドレス発行サービスです。なにかしらのウェブサービスに会員登録するときに専用のメールアドレスを発行し、それを一元管理できます。似たサービスとしては DuckDuckGo Mail ProtectionAppleのメールを非公開 があります。しかしこれらのメール隠蔽化はサービス登録時にはじかれたりアカウント停止されるなどが目立ってきました。サービスプロバイダー側の不正対策が進んできたという事です。
SimpleLogin は独自ドメインを登録してメールアドレスを無限に発行できるので、サービスプロバイダーのブロックルールを回避できます。やり方次第で悪用もできてしまうので、あまり有名になっても困る側面もあります。ですがユーザのプライバシーを守りつつ、サービス提供者が情報漏洩したり経営暴走・サービス改悪したときの対策を講じるのは大切なことです。Proton Unlimited に契約すると、SimpleLogin のドメイン機能をフルで利用できます。これが Proton Unlimited を契約した大きな理由です。

Protonの注目サービスのもうひとつ、Proton Authenticator にも触れておきましょう。これは二段階認証を行う時に使えるワンタイムパスワードを管理するアプリケーションで、無料で利用できます。
これまでも二段階認証ソフトウェアは複数ありました。有名なのは Google認証システムMicrosoft AuthencatorAppleパスワードアプリ などです。ところがどのアプリも独特なベンダーロックイン仕様があり、特定の環境を超えてアカウントを管理する事が面倒でした。「Appleユーザは Appleパスワードアプリから Google Authencator に乗り換えのが大変」みたいな話です。プラットフォーム互換性が高いのは1Password だけど、これは有料アプリですからハードルが高い。
Proton Authencator は無料で登場し、マルチプラットフォーム対応。しかもUIの出来も良くて、OSS。素晴らしい!2025年7月に登場したばかりというのもあって、他プラットフォームからアカウント移行を失敗するなどのバグや不具合はありますが、いちど Proton Authencator に2FA管理を任せれば、横断的な利用が簡単になるのでメリットと言えます。また Proton Authencator から別の2FAソフトウェアへの移行はスムーズのようですから、ベンダーロックインのリスクを下げられるでしょう。
ちなみに僕自身は Proton Pass (サブ用途でBitwarden)を使っており、その中で二段階認証機能も統合してるので、Proton Authencator の使用頻度は少ないです。でも、今後パスキーやパスワードレスが広まっていくにおいて、Proton Authencator の立ち位置や開発スタンスはとても重要だと考えています。

このようなセキュリティに関する開発能力やポリシーを評価し、Proton Unlimited に課金しました。
願わくば、Proton社が「あやしい匿名サービスを売る企業」とは思われぬように、正しい風評とともに名が轟く事に期待したいです。これからのマーケティングとブランド展開次第では、 TelegramSignal のように犯罪者御用達企業として日本で広まってしまう可能性があると思っていて、僕は心配しています。

KURO-CPC-4K1C1PTwA

キャプチャーユニットです。ゲーム機の映像を録画して編集する用途で使いました。この製品、中身は Forward Video Technology の Ezcap334 に間違いないと思います。
安価な割にはよく動くと評判の ForwardVideo Technology に、玄人志向のパッケージがあるので、保障面でも安心できます。

タジマ セフホルダー

タジマセフシステムは2024年末にリニューアルしましたが、2025年にだいぶ買い足してお世話になりました。というより、発売初期はちょっと入手困難で、本格的にそろえる事ができたのは今年に入ってからでした。

タジマのセフラインナップも今年はだいぶ拡充しましたね。これはクイックリリースプレートの一種で、建築業界の Ulanzi Falcam F38 だと思えば良いでしょう。自分はカメラバッグや機材アタッシュケースを改造し、3Dプリンタで自作パーツなどと組み合わせて、セフホルダーを活用しています。1個あたりの単価が安いのに丈夫ですから、運用の幅が広く、耐改造性があります。前世代のセフは幅広でしたが新世代セフはスリムなのも良い。もっと他業界でも使われるべき名作プロダクトだと思います。

Waves Curves AQ

世界初の自立型EQを搭載したVST3プラグインです。6600円。

Curves AQ は音楽制作家のためのプラグインですが、動画編集でもかなり使えます。インタビューやナレーションにおいて、このプラグイン通すと、いい感じに調整してくれます。まずオーディオをノーマライズしてクリップの音量を揃えて、Clarity Vxでノイズリダクションをかけ、あとは Curves AQ に突っ込んで出力すれば、本当に「いい感じ」にしてくれる。ボイスの明瞭感をあげつつ、しかし破綻せず上品に仕上がる。

僕は音は不勉強ゆえ、一発でEQ設定を詰める事ができません。無限に時間をかければ落とし所を見つけられますが、億劫です。対してCurves AQ で発話者の性別を選択し、Learnをクリックするだけで、5つの候補を示してくれます。まさに神速。

「何が “自立型” EQなんだろう……?🤔」と、宣伝文句に疑問は感じつつも、いままでのEQプラグインとは明らかに違うので、理屈は分からないながらも多用しています。


2025年の買い物総括と展望

デザイナーと名乗りつつ、今年はデザイン関連で買った新作は少なかったなぁ、という印象です。カメラも去年に購入した LUMIX GH7 で満足しているし、3Dプリンタや2Dプリンタも今年は増えませんでした。レンズも買わなかったです。どれも頻繁に使ってはいますけれどね。
アセット素材やソフトウェア(Adobe Creative Cloud など)やデザイン系書籍はそれなりに課金しているものの、例年通りなので特筆すべきモノは少なかったですね。

PCパーツ類について。2024年にサーバ・開発用・趣味のゲーム機含め、概ねパーツを確保していたので、昨今の値上がりは回避できました。くわばらくわばら。2026年もPC関連を買うのは苦しそうですが、マザーボードとCPUの値動きは注視したいですね。
ガジェット系全般で言うと、ディスプレイとゲームコントローラー分野は、今年激動のジャンルだったと思います。

ソフトウェア関連で言うと、AI系サービスの群雄割拠っぷりはスゴいですね。僕も複数のAIを常にウォッチしていますが、あまりの流れの速さについていけません。2025年12月現在の契約AIは Google Workspace in GeminiChatGPT ProClaude ProPerplexity Pro の4種類を併用してて、Zen Browser でプライバシー意識しつつAIツールを管理し、Obsidian Web Clipper で結果をローカルに保存し、Markdown形式でNASに貯め、ローカルLLMで保存・学習・管理しています。でもこの運用も新手法の登場で移ろうんだろうなぁ……。まだ LM Studio や、新しくなった PROXMOX 9 など、試していないソフトウェアは多いので、時間を作って勉強したいです。実験せねばならぬ事が山積みです。
2025年末現在は OpenAI や Google といったSaaS系AI企業が投資マネーの札束で殴り合っていますが、クリエイティブ業界の行く末と必要とされる技術分野はプライベートAI環境だと予測しています。あくまでも僕は、現時点ではそう考えています。僕は機械学習などは分からないので、この領域は力不足です。世間の流れに負けぬよう勉強したいし、2026年はここに資金と時間コストをかける事になると思います。

物理的マテリアル分野の話。資材・素材系の値上がりは財布に響きましたね。木製品もウッドショック収束後の小康状態は終わり、業界全体の資材高騰の波につられてる雰囲気を感じます。塗料や鋼材も軒並み値上がりしてて、製作物によっては大変だなぁと思います。素材を見直すと、機械がほしくなる。この記事では全てを書きませんが、2025年は工具類を多数新調した年でした……。

来年は、どんな楽しい買い物ができて、どんな道具に出会えるのでしょう。
まだ見ぬニューギアーを手に入れても使いこなせるよう、目の前の制作と習熟に励み、研鑽したいですね。

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